【Western Electricについて】
WE社製品のその優れた性能を超えようと、その後世界中の企業が様々な研究や開発を行いました。
しかしその結果、一社として超えるどころか肩を並べることさえありませんでした。
その後、それぞれのオーディオメーカーは製品開発において、性能ではなく、生産性や小型化への研究に力を注ぐことになります。
WE時代以降のオーディオ文化の歴史は、省スペース化と省コスト化の歴史であるといえます。
当社のWE社製品の復元作業は、現存するオリジナルユニットの出来る限りの確保、保存状態の確認、素材解析、構造解析、周波数特性、磁気特性、インピーダンス特性などの分析から始まります。
しかし、生産から80年以上が経過した現在において、手に入るオリジナルの多くは不完全な状態で、それらは見た目だけを整えたオリジナルとは全く異なるパーツによって補修されているものがほとんどでした。
位相が逆転していたり、音質のまったく異なるコーン紙や振動板、ヴォイスコイルが取り付けられていたりと、もはや製品として「個体差」という言葉ではとても片付けることの出来ない、別次元の「改造品」が大変多く見受けられるのです。
基準に出来るオリジナルが手に入らないという現実は、当社が現在最も苦慮する問題であり、さらに5年後、10年後を考えると、もはや絶望的であると思います。
また、そういった状態の悪いWE社製品をお客様が手に入れ、「これがWEの音か」と誤解をされてしまわれるようなことがあれば、同じくオーディオを愛する者として、それほど残念なことはありません。
人類が誇るべきこの文化的遺産を未来へつないでいくこと。
オーディオ文化の発展と振興に尽くすこと。
それらを当社は理念と目標にしております。
【次世代へ残したい音の世界】