G.I.P.Laboratory
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 基本設計はWE−594Aを基に開発したフィールド型ドライバーユニット。
WE−594A同様、イコライザー・トッププレート・ポールピース等の主要な部分は勿論、ボディや裏蓋に至るまで超精密な切削加工がなされている。
ボディとトッププレート・ポールピースは磁気効率の良い高純度の純鉄の削出しで出来ている。

製品紹介
●形式:コンプレッションドライバー
●ボイスコイル径:4インチ(10cm)
●インピーダンス:24Ω/1kHz 12,5Ω(DC)
●再生可能周波数帯域:300〜10,000Hz
●最大入力:25W
●推奨クロスオーバー周波数:300Hz
●スロート径:2インチ
●外形寸法:W215×H198×D160mm
●重量:約16kg
●フィールド電源:DC24V/1,0A

私が始めてWE-594Aを聞いた際に、その初動感度の速さに驚きました。
弾けるような粒立ちの良さ、輪郭描写の精密さ、生々しいまでの躍動感、鮮やかな色彩感が一瞬にして部屋の空間を支配したのです。
トゥイーターの必要性を感じさせない程の高域特性を持っており、WE独特の音味に時間を忘れて没頭しました。
私がこれまでに使用してきたスピーカーの数々を遥かに凌駕する性能に、生涯を賭して追及すべき世界の広さを改めて感じさせられました。

或るオーディオマニアの会合で、WE-594Aは「あまり良くなかった。」「設計が古すぎて使い物にならなかった。」などという意見を耳にしたことがありました。
しかし、それはよほど劣悪な使用環境で試聴していた事が原因ではないかと思います。

私もこれまでに様々な使用環境を実験し、あらゆるアンプやホーンとの組み合わせを経験してまいりましたが、その使いこなしの難しさに頭を抱える事も確かにありました。
しかし、WE-594Aを適切な条件で御使用になられている方や、WE製以外の物でも、ホーン方の大型スピーカーに真剣に取り組んだ経験のある方々で、WE-594Aの順位を「2番目以下だ」と言う方は、私の知る限り一人もおられませんでした。

しかしながら、WE-594Aの部品全部がオリジナルで、その保存状態が良好なもの。となると現状では確かに手に入りにくい物であることも事実であります。
これまでに当社でもいくつものWE製スピーカーを確認してきましたが、その殆んどが完全な状態であるとはいえない物ばかりでした。

ボディを空けると、ボイスコイルが錆びて朽ちているのが当たり前。
振動板そのものが欠落しているのもよく見かけられ、本体の中に土や砂や錆びた鉄粉がひしめいている物さえ少なくないのです。
錆びている為にネジも抜けず、トッププレートやポールピースも侵食して表面が深く、ボコボコになっている状態です。
ひどいものでは、本体内部は非常に綺麗なのに振動板がヴォイスコイルごと無くなっているものもありました。
想像するに、人為的に高価なオリジナルの部品を抜き取り、安価な代用品で組み直したものをオリジナルとして販売しようとしていたものではないかと思います。

もし、それらの全てが音が出ない状態であれば、誰しもがその問題に気が付き対処を行うでしょう。
しかし、音が出ている状態であった場合に、出てきた音の問題点に気が付くことの出来る方がどれほどおられるでしょうか?
中を空けて確認したところで、オリジナルをこれまで目にする機会のなかった方が、オリジナルとは違う振動板や部品で構成されていることを見抜けるでしょうか?

このような市場状況の中で、言われるままに購入したWE-594Aをただ繋いで鳴らしたところで、その音に私が経験したような感動がこもっているとはとても思えません。
先ほど例に出した方々も、その音を聴いて落胆したのではないかということが想像に難くありません。
そして、そういった方々は口々に、それがWE-594Aの全てだと言うのです。
私はそれが非常に残念でなりません。

同じくしてオーディオを楽しみ、追求する者の一人として、WE-594Aが織り成す比類なき音の世界をより多くの人に体験して頂きたいと、強く願わずにはおられません。

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